カテゴリ:ショートストーリー



出会った頃の記憶は、曖昧になってしまった。
満開の桜を見ると、君の顔の痣を思い出す。
町中でクライエントとすれ違っても、自分から挨拶はしない。 なぜなら私の仕事には、守秘義務があるから。
こう、風の強い日は、君のことを思い出す。「また来週ね」と言うと、君ははにかみながらお辞儀をした。
新年早々、なんてタイトルだと我ながら思う。でも、どうしても君に届けたく、私は書いてみることにする。